サッカー日本代表

サッカー日本代表のE-1選手権を見た。

結果は優勝。香港戦と韓国戦はフルで見て、中国戦は割かし早い段階で見るのをやめた。中国戦は”いつもの”森保監督らしいサッカーで”いつもの”パッとしない試合展開で、しかも勝つことすらできなかった。勝利できた香港戦と韓国戦、引き分けた中国戦の違いは何だと聞かれたら間違いなく戦術の部分だろう。勝てた試合は横浜Fマリノスの選手が5~6人スタメンから出場していた。マリノスはここ数年でかなり完成された攻撃的なサッカー(アタッキングフットボール)でJリーグで首位を走っている。彼らの連携が攻守で存在感を発揮していたのは誰の目から見ても明らかで、特に韓国戦の3点目なんかは彼らがJリーグでやっているようなプレーが代表でも発揮された瞬間だった。何が言いたいかというと、日本代表というより「戦術マリノス」で勝った試合だったのだ。そして、中国戦が森保監督の、すなわち日本代表の戦術で戦った試合であり、それじゃあ格下相手にも勝てないということがはっきり分かった大会であった。なんなら中国戦を見ていた時、カタールW杯でもこうやって負けるんだろうなというのが容易に予想できた。「戦術マリノス」での勝利と”いつもの”森保JAPANでの引き分け。この対照的な結果から日本代表が世界で勝つにはどうすべきかを考えてみる。

まず、ここ数年の横浜Fマリノスの攻撃的なスタイルのサッカーは、2017年に就任したアンジェ・ポステコグルー監督が作り上げた。監督はそれ以前にはオーストラリア代表も率いており、その時も攻撃的なサッカーでアジアカップを制している。サッカーに関して非常にイノベーティブであり、強烈なフィロソフィーを持っている監督だ。以下の記事なんかから彼の標榜するスタイルやサッカーに対する情熱、フィロソフィーがうかがえる。

マリノスを堅守から超攻撃へと変革した、ポステコグルー2年間の頑固で揺るぎない信念 | REAL SPORTS (リアルスポーツ) | スポーツの"リアル"を伝える

そして、それこそが日本人に最も足りない部分なのではないだろうか。歴史的に見てもそれは明らかだ。例えば、日本人が高度経済成長を遂げることができたのは、いろいろな理由があるのは承知だが、その一つに、海外の国で発明された製品を小型化したり効率化や生産体制の改善となどが日本人が得意だったのがあると言われている。0→1を生み出すようなイノベーティブな部分よりもそれにテコ入れをしたりカイゼンしていくことこそが日本人の得意分野なんだと思う。現に日本の発明なんてものは海外では笑いものらしいし。とはいえ日本人のイグノーベル賞の受賞は常連だし、カラオケボックスとかバラエティ番組などのエンターテインメント分野の発明でいったらピカイチかもしれない。話を戻そう。この日本人の得意分野をサッカーに生かすとすれば、根本にある戦術であったりサッカーに対するフィロソフィーは海外の監督に構築してもらったり輸入して、それのテコ入れを日本人の監督であったりコーチが行う、というものだ。なにより、このプロセスを通してサンフレッチェ広島で結果を残したのが他でもない森保一監督なのだから。いつかのサッカー番組で名波浩さんだったかが言っていた「チームスタイルに関して攻→守の転換でうまくいった例はあるが、逆はない」というのを未だに覚えている。前者の例がミシャから森保の広島、風間から鬼木の川崎だ。そう考えると風間八宏さんなんかは日本人にない部分を持っている指導者だなと思う。他でいうとチョウキジェさんなんかもそれを持ち合わせている。彼は今でも存続している湘南ベルマーレの”湘南スタイル”を作り上げた人物だ。では、後者の例はというと、解任された年の宮本ガンバだ。まず、日本人主体で何かを作り上げようとするのはたいてい失敗していると思う。今日本代表ではJAPAN's WAYという日本人ならではの特徴を生かしたサッカースタイルを育成年代から教育していこうという動きがあるが、私からしてみればこれまで言っているような0→1を作り上げるような指導者(日本人が苦手な部分なのでここの人選はかなり精査する必要がある)に戦術面やフィロソフィーを構築してもらい、日本人がそれを整備するというやり方こそがJAPAN's WAYだと思う。2018年のロシアW杯を思い出してほしい。土壇場で監督になりながらチームをうまくマネジメントし、本戦でベスト16まで導いた西野監督の手腕には賛辞が送られていたが、彼が本戦で見せたサッカーは前任のハリルホジッチ監督が指揮していたころのサッカーにほとんど一致していた。こと日本代表に関してはW杯を区切りに4年ごとに監督を変えるというのが主流になっているが、監督が変わるたびにそこで0に戻り、また1から作り直すのではなく、前任のスタイルを引き継ぎつつそこにテコ入れをするという風にとらえるべきなのではないか。マネジメント能力や改善に長けた森保監督という人材を起用するなら、前任は日本人監督ではなく、外国人にすべきだった。というより、運悪く西野監督から森保監督というマネジメントタイプの人材の引継ぎが起こってしまったことが問題だろう。森保監督のサッカーは選手を適材適所に配置できていないという起用方法への批判が多い。その前に、監督人事に関しての適材適所を批判すべきだ。

私も人文系の学部で学問を学んでいる人間だ。昨今の流行り病では全世界でのデータを日本にあてはめて政策を展開したり、感染を恐れおののく人々が出てしまっていた。世界と日本人は違うわけで、そこで登場するのが人文系の知識である。日本人として日本人の特徴を分析し、そこから考える。近年サッカーもデータを活用する時代になってきているが、それより前に日本人として世界と戦っていくやり方を考えるには、私が提言したJAPAN's WAYを実践してみてはどうだろうか。